27 あなたには分からないでしょうね

27 あなたには分からないでしょうね

ロラン・バルトは、彼の著書、明るい部屋の中でこのようなことを書いていた。
写真で死体をうつした場合、死体が死体として生きているということを写真が証明するから、それはつまり死んでしまったものの生きている映像なのである、そして、写真は対象が生きていると思い込ませる。、と。

最初に生まれた蚕蛾さんがついに今日動かなくなってしまった。
泣きながら写真にうつしてみたがやはり死んでいる、とひと目で分かる。目も開いているし羽根も上がっている子もいて生きているときの姿とさほど変わらないのだけれどやはり生きていない蚕蛾なのだ。写真から死が滲み出ている。死が写真の中に留まっている。もはや蚕蛾ではなく死をうつしたもので、それはすごく、何というかわたしにとって違和感を感じることだった。写真におさめることは保存したい気持ちから来た行動だったが、いまははやく土に還してあげたい。

だいすきだよ、わたしのシルクワームちゃん。